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2016.10.13

劇的なるもの   <一日一篇の詩  vol 6>

私は若いころ
大学の演劇科に行っていた。
そこで戯曲論という授業があり
古典の戯曲を題材にして
「劇的とは何か?」というテーマを云々する時間があったんだけど
劇的を端的に説明するならば
「主人公が信念をもって行動するが、その行動が自己否定につながるとき」
だという。

あいつは絶対に間違っている
許してなるものか!

と戦ううちに
間違っているはずの相手と自分が
同じ穴のむじなになってしまうという

そんな物語はよくあるが
しかし
戦わないで
世界を変える方法なんてあるんだろうか?

それとも
ぐるぐると螺旋のように
繰り返す
運命の渦に
身を任せて
ひらひらと
飛び交うしかないのだろうか

でも人は
劇的なるものを求めて
劇場へ足を運んだ。

劇的な悲劇に歓喜し涙した。

劇的なるものは
「カタルシス」を生じるという

カタルシスかぁ。

こうして黒板を前に
ゲキテキとかカタルシスとか
言われても机上の空論的でなんとも味気ない。

しかし
劇的なるものをもとめて
劇場へ足を運んだ
人々は

正義の戦いからも
ぐるぐるとした螺旋の渦からも
解放されて
自由になりたいと
願っていたのかもしれない。

当時の演劇が
儀式の様相をまだ呈していて

現世の渦から一時的に
解放してくれる
カタルシスという体験に
この演劇という儀式に
神の降臨を感じたのかもしれない。

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『<一日一篇の詩>とは?』 これは本日の ホロスコープや数秘を見て、COCOに届いた詩、あるいはその日なんとなしに降りてきた言葉や詩などを、だいたい毎日連載するものです。